都心を歩いていると、交差点の四つ角が全部コンビニという光景もある。近距離に同じ系列の店が2、3軒集まっていることもある。そんなに集中させると、“客の食い合い”が起きないか心配だが、それにしてもコンビニはなぜ近くに店舗を集めるのか。 コンビニ研究家の田矢信二氏が言う。 「東京ならではの現象です。それだけお客さんが多いという証拠。店舗数にも如実に表れていて、大手3社の店舗数は東京だけで合計約7000店もあるのに、第2位の大阪は約3800店。圧倒的な差です」 複数店舗が固まっているのは、より多くの売り上げが見込めるオイシイ場所だから、というわけだ。ならば1カ所に大きな店をドーンと造った方が効率的ではないか。 「そういうわけにはいきません。東京のお客さんは、せっかちというか、わざわざ信号を渡ってまでコンビニに行こうとは思いません。歩いていればいつか通りすがりに見つかると分かっていますから。なので、売り上げが見込める交差点などでは、道の両端など動線ごとに出店するのが鉄則なのです」 稚魚も逃さず一網打尽に! そんな戦略のようだ。 でも、フランチャイズで異なるオーナーだと、足の引っ張り合いが起きそうだが、「さすがに本部もそこまではしません。同じオーナーさんに任せるケースがほとんどだと思います」。 出店場所以外にもいくつかセオリーがある。例えば店内は、入って外側をぐるり一周すると、必要な物が見つかる配置になっているという。その最たる例が雑誌・ドリンク・弁当。コンビニ商品の“三種の神器”だ。 高さ155センチに売れ筋商品が並ぶ。そこは「ゴールデンゾーン」と呼ばれ、女性の平均身長155センチに位置する。もうひとつは「Zの法則」で、人間の目線は棚の上段の左から右へ。そこから斜め左下に下りて再び右にという“Z”の形で流れやすいことにちなんだ陳列テクニックだ。 どんな人気商品でも5つ以上並べないのは、それより多く並べても売れないというデータがあるからとか。 コンビニは売るためのアイデアが詰まった玉手箱なのだ。 |